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復職面談のコツ

 
復職面談のコツ
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復職面談。

あなたが、企業の人事やメンタルヘルス担当者だったら、復職面談にはどんなイメージを抱いているでしょうか?例えばそれを山に例えると、どんな山になるでしょうか? その山をあなたは、休職した社員と産業医と一緒に登っています。リュックの中の荷物は何が入っていますか?山登りの準備は万端でしょうか?お互いどんな会話を交わしているでしょうか?

本日は、

  • 復職面談を行う前のチェックポイント
  • 復職面談でのチェックポイント
  • 産業医が休職者に確認するポイント

についてお話しします。

目次

復職面談を行う前のチェックポイント

まずは基本的なことを整理しましょう。

復職面談の目的、立場による役割の違い

復職面談の目的

復職面談の目的は、職場において仕事ができるかどうかを判断することです。

主に職場の人事担当者や直属の上司、産業医が参加し、休職した本人と面談します。

休職者が、復職可能と主治医に診断書を書いてもらえるレベルになったときに、行われることが多いです。

立場による役割の違い

主治医:症状の改善や日常生活における回復程度などから、復職できる回復レベルかどうかを判断し、職場へ提出する診断書を作成します。

産業医:健康管理などの観点から、就業できる健康状態かどうかを判断し、就業上の配慮について会社へ提出する意見書を作成します。

事業者:職場復帰に関して、最終的な決定を行います。

※企業によっては、会社で復職審査委員会などが開かれ、最終的に復職可能かどうかが決定されます。

面談前の準備

主治医から復職できる回復レベルと判断されたら、休職者本人が職場に連絡し、復職面談のアポイントを取ります。面談の前には、用意すべき書類(主治医による診断書など)がないか、事前に会社に確認しておきます。

自分が体調を崩した自分の中にある要因に気が付くことが大事

ここからは、私が、リワークにかかわった経験をもとにお話ししていきます。

メンタル不調で休職中の方が、復職のためにリハビリテーションを行っている施設「リワーク」では、会社での「復職面談」は最終関門、なじみの深いワードです。

リワークの目的は再発防止。リワークに通っている期間は、人により様々ですが、3カ月~6カ月の期間をかけて、様々なプログラムを通して、自分が体調を崩した自分の中にある要因をみつめます。どのような状況になったとき、対応に困っていたかを振り返り、その時の自分のストレス処理のパターンに気が付き、対策を見つけることに努めます。自分の問題の解決方法やストレス処理の方法は、自分にとってはずっとそれでやってきた当たり前のやり方なので、例えば「相談するのが苦手だった」のような、単純なことでも、実感をもって気が付くまでに時間を要します。抱え込まないで「報告」をする。復帰してしばらくは、週に一回決まった時間に上司との定期的なミーティングを設定してもらえるよう相談してみる。など、具体的な対策を自分で発見することが大事です。

「復職面談」は、”「社員」として仕事をします”というプレゼンテーション

医療リワークや主治医との関係では「患者さん」という立場の休職者が、会社に赴いて行う「復職面談」は、”もう一度「社員」として仕事をする意欲がある”というプレゼンの場面でもあり、不安と緊張を伴うものです。

一方で、メンタル不調による休職者を初めて出した会社、二回三回と同じ社員が休職を繰り返して、どんなふうに対処してよいか困っている会社も多いと思います。そんな時は、会社で面接を行う立場の、人事担当者や直属の上司の立場に当たる方々も不安や緊張を感じていることでしょう。

メンタル不調者に対して十分な休職期間は定められていますか?

休職してもリワークが利用できる人はごくわずかに過ぎません。リワークの施設は限られていますし、リワークを余裕をもって使えるほど休職期間が十分に確保している企業はわずかです。

うつ病と診断されれば、最初は、薬物治療を受けたり、しっかり休養することが大切。休職期間が短い会社の場合は、これだけで休職満了になってしまうところもあります。

やっと通勤がなんとかできるようになった段階で、休職満了に近くなり、自分が調子を崩すパターンに気が付いたり、対策を見つけたりできないまま、体調の回復だけで復職可の診断書をもらい、再発して、退職となってしまうことも多いように見受けられます。

リワークに安定して通える、ということは、体調や体力は、会社に通える段階に到達しているのに近いということ。そこから数カ月間かけて、さらに自分の要因に気が付き、再発防止策を考えるのです。このように復職面談のために十分な準備をしたうえで、もう一度仕事をしたいという希望や意欲の表明として、プレゼンテーションできる人は、休職者全体から見るとまだまだごくわずかに過ぎません。

メンタル不調に対しての再発防止の仕組みつくりはできていますか?

例えば会社で定めた休職期間が2~3カ月のように短い場合は、復職あるいは再発防止のハードルは上がります。復職面談も、リワークに通って十分に対策を練った人と同じように「プレゼンテーション」の場と捉えるのは、難しくなります。

産業医としては、シンプルに言えば「安全に通勤が毎日できて、所定労働時間(例えば8時間)、机に向かっていられるか」つまり「仕事ができるか」を確認することになります。

私は、休職中~復帰後の面談を通じて、休職した方が、自分が調子を崩す仕組みに気が付き、危険信号を意識してセルフケアができるように面接で本人に考えてもらうことを心がけています。また、人事や直属の上司と話し合い、復職後も焦らずに、業務でわからないことを社内で相談できる体制を整えるなど、環境調整を図ります。

メンタル不調で休職した社員が、他責的な傾向が強かったり、怒りの感情が強いなど、会社で対応に苦慮されるケースの相談を受けます。うつ病などメンタル不調で休職に至った場合、内省し自分で自分のパターンに気が付くには、回復段階において適切な働きかけを行う必要があります。休職者が復職に向けて意欲をもって取り組むためには、相応の時間は必要で、時にはリワークのような専門のプログラムでの手助けが必要です。

一般的に大企業では、専従の産業医に加え保健師や心理職などがチームで対応し、更にはリワークを利用していますが、企業規模が小さくなるほど、休職期間が短い中での難しい対応をとなって、それを医療を専門としない会社の人事やメンタルヘルス担当者と、訪問回数が月1~数回の産業医が協力して行っている現状があると思います。

視点を変えてみましょう

一方で、うつ病などの休職者が内省して気づくことは、相談ができなかった、コミュニケーションの中で否定的にとらえすぎて自分を追い込んでいた、ということようなことが多かった。ここに立ち返ってみましょう。

会社の中での人間関係、ちょっとした思いやりや、声掛けは、どんなお薬よりも効果的なこともしばしばです。休職から復帰した人は、会社の人間関係の中で、本当の意味で治っていきます。

産業医は、会社で働くすべての人の健康を守る役割を担っています。復職者を迎える会社の上司や同僚、人事やメンタル担当者など皆さんのお話を聞き、心配な点を整理し、具体的な対応方法を考え、ストレスを軽減することも大切な役割です。

会社で仕事をしていくことは、業務を遂行するだけではなく、人間的な成長に喜びをを得ることでもあると思います。そのように感じられる経験になることを目指したいと考えています。

復職面談でのチェックポイント

復職面談に役立つコミュニケーションの工夫

以下は、リワークを利用している休職者向けに、コミュニケーションの工夫のポイントを説明したものです。これは、会社側のチェックポイントとしても使えるでしょう。「5つの基本」は、休職者が、しっかりと復職の意欲をもって面談に臨んでいるか? コミュニケーションを図ることが出来るか?を判断する材料になるでしょう。

また、「9つの工夫」は休職者から具体的な情報が得られるように、会社側で質問を準備しておくことも有効です。休職中に定期的に面談が行える場合は、精神面が安定してきた段階で、本人に考えてもらえるように働きかけることが出来ると良いと思います。

5つの基本(休職者が面接を受けるうえで)

□ 面談開始時と終了時にしっかりと挨拶しましょう

□ 相づち・頷き・アイコンタクトに気を配りましょう

□ 相手の話をよく聞きましょう

□ 相手にわかりやすく伝える工夫をしましょう

□ 分からないことは質問・確認しましょう

 

わかりやすく伝える9つの工夫(休職者が面接を受けるうえで)

  • 具体的に伝えよう(『た・か・し』で伝える!)

 体験・エピソードを踏まえて説明する

 数・数値化して伝える

 視角化する(資料やシートを用いて分かりやすく説明する)

  • 因果を伝えよう

【原因】○○、○○という原因が重なって調子を崩したと考える

【結果】その結果、体調や仕事、人間関係に○○という影響が出たと考える

  • 変化を伝えよう

【考え】以前は○○と考えていたが、今は○○と捉えられるようになった

【行動】以前は○○という対処しか行えなかったが、復職後は○○という対処を行おうと思う

 

 復職面談で「産業医が聞くポイント」

 

以下の項目は、復職面談で産業医が確認するポイントをまとめたものです。

会社側から見ると、主治医の先生の「復職可」の診断書があっても、「仕事ができるかどうか」「再発防止の対策が考えられているか」の情報を得るための質問といえます。

リワークでは、復職面談の前に休職者が整理しておくポイントとして使用しました。

リワークに通っていても、このような質問にしっかり答えられる、つまり「自己分析」ができるようになっている方ばかりではありません。またリワークに通っていない場合でも、主治医と相談したり、休職中の産業医面談等で少しずつ話し合いを進めていくことが出来ると良いと思います。

 

産業医が聞くポイント①

Question 1: 「体調・気分」について

Q1-1 現在の体調はいかがですか?気分はどうですか?(楽しめることが何かありますか?)

(                                       )

Q1-2 元気だった時を10とすると今体調は何点(0‐10)くらいですか?足りない部分は何ですか?

(                                       )

Q1-3 気分の波や身体の違和感など、気になる症状が何かありますか?

(                                       )

Question 2: 「生活・睡眠リズム」について

Q2-1 規則正しい睡眠リズムで生活できていますか?何時に寝て、何時に起きる生活ですか?

(                                      )

Q2-2 出社に間に合う時間に起きれていますか?何時に起きると出社に間に合いますか?

(                                      )

Q2-3 仕事に支障が出るような日中の眠気がありますか?

(                                      )

Question 3: 「通院・服薬」について

Q3-1 きちんと服薬できていますか?どんな薬を飲んでいますか?副作用はありませんか?

(                                       )

Q3-2 通院はどれくらいの頻度ですか?復職後に通院できる日時が検討できていますか?

(                                       )

Q3-2 復職後に体調が悪化した場合の対処は主治医へ相談・共有できていますか?

(                                       )

Question 4: 「体力・集中力」について

Q4-1 日中は活動・外出できていますか?生活記録表は毎日、記入できていますか?

(                                       )

Q4-2 現在、体力面は回復していますか?外出した後の疲れ具合はどうですか?

(                                       )

Q4-3 現在、集中力は回復していますか?本や新聞、テレビの内容が理解できますか?

(                                       )

Question 5: 「復職への意欲・焦り」について

Q5-1 復職したい気持ちは今、何点(0-10)くらいですか?(7, 8点まで高まっていますか)

(                                       )

Q5-2 復職への焦りや不安は何かありますか?復職を急ぎすぎていませんか?

(                                       )

Q5-3 復職時期ついて十分に主治医と話し合って決めていますか?復職時期は適切ですか?

(                                       )

産業医が聞くポイント②

Question 6: 「休業に至った理由・再発予防」について

Q6-1 休業に至った理由・経緯は何ですか?

(                                       )

Q6-2 休業へ至った要因は解決・改善できそうですか?

(                                       )

Q6-3 復職後、再発させないための工夫や健康管理上の留意点は何ですか?

(                                       )

Question 7: 「悪化時のサイン・対処」について

Q7-1 自分の体調悪化の徴候や初期サインは何かありますか?

(                                       )

Q7-2 復職後、体調が悪化した時の具体的な対処や手順は検討できていますか?

(                                       )

Q7-3 復職後、職場で予想される苦手な場面はどんなことですか?またその対処法は?

(                                       )

Question 8: 「通勤・連絡」について

Q8-1 満員電車など通勤への心配や不安はありますか?また通勤練習はできていますか?

(                                       )

Q8-2 通勤中に気分が悪くなった時の対処や上司への連絡方法は検討できていますか?

(                                       )

Q8-3 朝、 体が重く、なかなか自宅から出られないときの対処・連絡は検討できていますか?

(                                       )

Question 9: 「上司との話し合い・職場の環境調整」について

Q9-1 復職後の具体的な仕事内容などについて、上司と話し合いを予定できていますか?

(                                       )

Q9-2 上司に何を相談したらよいか、また職場への要望など、具体的に整理できていますか?

(                                       )

Q9-3 復職後、心配や困ったことがあった場合、誰に相談すればよいか勘案できていますか?

(                                       )

Question 10: 「リワークで学んだこと・今後に活かせること」について(リワークを利用していない場合は、「休職で学んだこと・今後に活かせること」について。リワーク⇒休職 に置き換えてお答えください。

Q10-1 リワークで経験したこと、学んだことは何ですか?考え方や心情の変化は何かありましたか? (                                      )

Q10-2 復職後、リワークで学んだことが、どのように活かせそうですか?また活かしたいですか?

(                                       )

Q10-3 当面は焦らず、他人と比べず、体調・勤怠の安定を目標に仕事が始められそうですか?

(                                       )

メンタル不調により休職した労働者のための復職支援リーフレット 復職面談のコツ!~コミュニケーションの工夫と実践~  公益法人メンタルヘルス岡本記念財団平成29年度研究助成「神経症・うつ病等による休職者の復職面談に関する支援ツールの開発と展開」にて作成 を一部参考にしました。

まとめ

  • 復職面談を行う前のチェックポイント
  • 復職面談でのチェックポイント
  • 産業医が休職者に確認するポイント

について、それぞれお話ししました。

最初に、復職面談を「山」に例えましたが、山登りの準備を整えることは、とても大切です。

休職者の発生を防ぐための予防的な取り組みも、さらに重要となってくるでしょう。

産業医と協力しながら、一歩ずつ進んでいきましょう。

 

 

 

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