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大人の発達障害、産業医面談でできることは?

 
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「大人の発達障害」

あなたが、企業の人事やメンタルヘルス担当者だったら、「大人の発達障害」について、どのような関りや経験をお持ちでしょうか?

アスペルガー症候群やADHDについて、情報を集めた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は、「大人の発達障害」について、産業医面談の役割を中心にお話しします。

昨年の日本うつ病リワーク協会年次大会(福島)のテーマは「発達障害のリワークを科学する」でした。

発達障害 幼児期の支援のポイント

「幼児期から自立までの発達障害の支援を通じて」という講演が強く印象に残りましたが、それは以下のような内容でした。

・・・発達障害の幼児期の特徴には「視線が合わない」「人へのかかわりが苦手」や「ぬいぐるみよりリモコンが好き」などがあります。これは、脳の機能的な特徴が原因であり、脳をコンピューターに例えて説明するなら、「検索機能が弱い、すなわち情報を統合する機能が弱い」ためであると説明できます。このため、コロコロと変わる人の顔(の表情)は、発達障害の赤ちゃんにとっては、情報を統合することができないために、予測できない安心できないもの、「こわい」と感じてしまうことになります。その結果、赤ちゃんは「目を合わさない」行動をとっているのです。同様にぬいぐるみのようなはっきりしない顔も「こわい」と感じてしまうので、「ぬいぐるみを好まない」のです。一方リモコンで動く電車の動きは規則的で、予測通りなので安心できます。規則的な動きを繰り返す、モーターの電車のようなおもちゃで遊ぶと喜んでいることが多いといわれるのは、このような理由によると考えられています。

「目を合わさない」という現象からスタートすると、親は「いったいどうして」と戸惑いや悲しみからの育児スタートになります。一方、「目を合わさないことの背景にあるしくみの理解」からスタートできると、親の感情は収まり、肯定的な養育につながります。肯定的な養育は、赤ちゃん自身の愛着の形成や安心感の獲得に大きく影響します。これは、その後の心の成長にとって、とても大きな影響力があり、特に1~2歳が勝負で、幼稚園に入るまでの療育の内容によって天と地の差があります。・・・・とのことでした。

長年通院していても診断がついていないことが多い「大人の発達障害」

近年、リワークでも「発達障害」の方が占める割合は、増加しています。

うつ病や双極性障害(Ⅱ型)の診断での休職、あるいは原因が特定できない頭痛やめまいなどの身体症状で休職された方が、リワークに通って毎日行動観察された結果、「発達障害」と診断名が変わることがあります。この場合、うつや身体症状は二次的な結果となります。

本人が自分の個性(「特徴」・「特性」)について、時間をかけて見つめ直すことが大切です

「発達障害」と診断が本人に告知された場合は、発達障害の人についてわかりやすく書かれた本を読んだり、発達障害に特化した集団プログラム(アスペルガー傾向対象のものや、ADHDを対象にしたもの)を受講したり、リワークの様々なプログラムを通して、時間をかけて、自己理解を進めます。そして、仕事を行う上で苦手なことを明確にして、できるだけの対処法を考えたり、それでも難しい場合は、会社にお願いしたい具体的な配慮を考えます。同時に得意とすること、やってみたい仕事についても考えます。このような経過に伴い、抑うつや身体症状も改善していくことが多いです。

告知されない場合も、本人が自分の個性(「特徴」や「特性」と言い換えてもよい)について、時間をかけて見つめ直し、理解することによって、仕事を行う上での対処法を考えたり、個性(特徴・特性)を活かす方向を見つけることを大切にします。

産業医面談でできることは?

これと同じことが、産業医面談でもできると良いのではと考えます。

私は「発達障害」である、ないにかかわらず、不調者に対する面談の基本として、本人はどんなことで困っているのか、本人に考えてもらい、本人に教えてもらうことを大切にします。

面談を重ねていくうちに、トラブルが発生する仕組みや、自身が体調を崩す仕組みに気が付いてもらうことが、できていけると良いと考えています。発達障害の傾向のある人は、その過程で、自分の個性(「特徴・特性」)に気が付くことが出来ると良いのではないかと考えます。

一緒に仕事をしている人のお話を聴くことも大切です

そのためには、本人と一緒に働く周囲の人からの情報を収集することも重要です。本人と仕事をする上で、どんなことに困っているか、どんなふうに本人のことをとらえているか、どんな風に感じているか、辛さやストレスを感じているかについて、お話を聴きます。当事者以上に、周囲の人がストレスを抱えていることもあります。

主治医や、産業医は、本人と接するのは一カ月に一回、10数分~30分程度の「点」に過ぎません。一方、会社の同僚や上司は、本人と毎日「線」で接しています。

「大人の発達障害」は、診断まで至ることはなかなか難しく、また診断が付いたとしても、診断だけでは、本人の問題や、会社での問題が解決することにはなりません。

効果的な環境調整を行うためには

本人の行動の背景には、独特の情報の処理の仕方やものごとのとらえ方があることや、そのことに対して本人自身が自覚して向き合う姿勢があることを、対応に苦慮していた同僚や上司が理解した場合には、協力的に環境の調整が行われることが多いです。

このことは、最初に書いた「幼児期の支援」の内容に少し似ているようにも思います。

まとめ

大人の発達障害は、診断の有無にかかわらず、本人が自分を知ること、個性(特性)を落ち着いて見直すことが大切です。産業医は、本人と周囲の人の両方のお話をよく聴き、環境の調整を進めることが出来ると良いと思います。

対応に苦慮される、人事やメンタルストレス担当者も多いと思います。

産業医と協力しながら、一歩ずつ進んでいきましょう

 

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